本「約束の向こうに」

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私からのメッセージ

教育方針イメージ
「自死」は、なぜ起きてしまうのでしょうか・・・?


この本をきっかけに、自死についていろいろ考えてくれたら、うれしいです。
そして、自死の予防のために、私たちにもできることは必ずあります。
そう、そっと見守ったり、
そっと支えるだけでも、力になります。

私たちにできること、一緒に考えてみませんか?

そして、残された遺族の思いや状況にも思いを巡らせ、そっと手を差しのべてください・・・

「あなたのやさしさをみんなへ」

出版までの経緯

 私は、出版社の方から本の出版のお話をいただいたとき、
初めはお断りするつもりでした・・・

「私たち家族が自死遺族だ」と知られることを
とても恐れていたから。

まだこの頃は、私は、子どもたちや親戚にさえ、
夫が自死したことを隠していたからです・・・
誰もが尊敬していた夫が自死であるなんて、打ち明けたら、
一体どんな反応をされるのだろう・・
どんなにショックだろう・・・
そんなことを考えたら、とても怖くて言えない・・・
まして、出版などすれば、夫が自死であると知れ渡り、
裁判官であった夫の名誉が傷つけられたり、
子どもたちがショックを受けたりするかもしれない・・・
そう考えたら、とても出版なんて・・・

このときは、私自身が、自死(自殺)は不名誉なことであり、
罪深いことだと思っていたのです。
だから、私は、夫の名誉や大切な家族を守るため、
夫の自死については一生黙っておこうと思っていました。

そんな私に転機が訪れました。

司法修習生となった私は、裁判所や弁護士事務所や検察庁で、
たくさんの事件の記録を読んだり、裁判を傍聴したりする中で、
生の事件と向き合うことになりました。
生の事件は、衝撃でした・・・

「一体どうしてこんなことに・・・!?」
「苦しんでいるのは私だけじゃない・・・」
少しずつ、私の中で何かが変わっていきました。

そんなある日、私は母子家庭の家族と出会いました。
その母子と関わるうちに、
「経験をもとに語る言葉には、不思議な力がある」
ことを学びました。
そして、実務修習が終わるころ、私の心の中に、変化が生じたのです。

夫の最期は自死・・・
でも、夫の自死は、がんばってがんばり抜いた結果であり、
決して不名誉なことではない。
「命を粗末にしたくて自死したんじゃない。」
あのときは、自死するしかなかったんだ・・・

それを、ちゃんと語ることのできるのは、自死遺族である私しかいない。
事実をできるだけありのままに、
そして 、詳しく語れば、
きっと自死について理解が深まり、
何かを感じ取ってもらえるはず・・・
私が語ることで、自死に対する理解が広がり、
自死遺族の方々がその思いを打ち明けることのできるような社会になるならば・・・

そう思い、私は、本を書くことを決めました。

でも、本を書くのは想像以上につらい作業でした・・・
司法修習後から2回試験の発表までの約2週間の間に、
ほぼすべて書き終える予定だった私・・・

ところが、夫が自死する辺りから、
私が司法試験の受験を決意するまでの場面が、
なかなか書けない・・・
この場面だけは、思い出すだけでも涙があふれ出てしまい、
文字に起こすことができない・・・
でも、この場面を書かなければ、自死がなぜ起きるのか、
きっと誰も理解できない。

子どもたちにも、パパが、がんばってがんばって、
でもどうしようもなくなって死んでしまったことを理解してほしい!

書かなければ・・・

そう思い、私は、年末年始、つらい気持ちを奮い立たせ、
できるだけ詳しく書きました。

それでも、子どもたちへの告白については、
最後の最後まで打ち明けることができず、
なかなか書けませんでした・・・。

思い出すことが、
そのときのことを文字にすることが、
子どもたちに夫の自死を打ち明けることが、
周りに知られてしまうことが、
これほどまでにこわくて、
つらいとは・・・

この本をきっかけに、自死に対する理解が深まることを心から願っています。

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