思いは伝わる

3月は、自死に関する講演を2回させていただきました。
自死の問題に関心を持ってくださる方、支援してくださる方がいて、初めてできる講演。

ああ、一人じゃない・・・
こんなに、自死の問題に心を寄せてくれる人がいる・・・
本当にありがとう・・・

私の講演には、いつも、自死遺族の方々が聴きに来てくれる。
そして、最後に、私のところに、あいさつに来てくれる人もいる。
そう、きっと、大きな大きな勇気を振り絞って・・・

今回も、多くの自死遺族の方と話ができました。
「先生に会いたかった・・・」
「先生もつらいのに・・・よく話してくれました、ありがとうございます・・・」
「先生の講演を聞いて、私も、当時のことを思い出し、自分のことのように思って聴いていました・・・」
そんな言葉を聞くと、いつも熱いものがこみ上げてくる・・・
私に、力を運んでくれる。

ああ、がんばらなくては!

そして、支援する方からも、話しかけられる。
自死の問題、自死遺族の支援にも関心を寄せてくださるだけで、
私としては、とてもうれしい。心からの感謝。
でも、できれば、もっと関心を抱いて、もっと関わってほしい。
もっともっと、つい力が入ってしまう私。

そんな私に、支援する側の人がよく聞いてくる質問がある。

自死遺族の人を傷つけないようにするには、どうしたらいいですか

この質問は、講演の度に必ずと言っていいほど聞かれる質問。
この質問をしたい気持ちもよくわかる。
自死遺族の方を傷つけたくないからこその質問だから。
でもね・・・
私は、いつもこう答えている。

「自死遺族の人を傷つけない人はいないと思います。
自死遺族の私も、他の自死遺族の方を傷つけてしまうことはあると思っています。
それは、自死遺族の方はそれぞれ考えや状況も違うし、
感じ方が人それぞれですから、傷つけないようにしても、
傷つけてしまうことがあるからです。
 ただ、思いは伝わります。
 自死遺族の方を真剣に思う気持ち、それは伝わります
 その真剣な思いで、自死遺族の方に声をかけてください。

そう・・・自死遺族を傷つけなくて済む、そんなマニュアルなんてない・・・
自死遺族の方の多くは、十分すぎるほどに傷ついているから、人の言葉や表情に敏感になっていることが多い。
傷つきやすい人もいる。

小手先ですむ支援なら、むしろしないでほしい。
きっと、そんな支援は、自死遺族を傷つけるだけだから・・・

思いが一番大切。
その人を心から思う気持ちは伝わる。
だから、自死遺族の方と向き合うときは、真剣に。
どんな言葉をかけようかと悩み、
傷つけないようにどうしたらいいのか悩んで、
それから、かけた言葉や行動ならば、
たとえ、自死遺族の人を傷つけることになったとしても、
自死遺族の人の傷は大きく広がることはない。
そう、あなたのその思いは伝わるから。
あなたがその遺族の方を思う気持ちが本物であるなら、
いつか、あなたを信頼する時が来るはず。

私は、いつも心をさらけ出して、自死遺族の方と向き合うようにしている。

どうか、自死の問題に携わる方々、自死遺族の支援に尽力してくださる方々には、
自分のその思いを大切に、真剣に自死遺族の方と向き合ってほしい。
それが、自死遺族の方のためになるのだから。